對馬有輝子のイタリア紀行です
更新日2010/03/07・19:13
本物を見ることの大切さ
-對馬有輝子さんのイタリア留学
「’98年イタリアで絵画を学び、感性や作品に大きな影響を受けて、本物を見る大切さを実感しました」と語る對馬有輝子さん(「イラストック」会員、岡山県倉敷市)。現在のお仕事であるステンドグラスの勉強と、多くの本物を見る目的を持って今年1月~3月に再びイタリアを訪れた對馬さんに、留学生活を振り返っていただきました。(2005-8フェーマスより転載)
フィレンツエの町が、一望できるミケランジェロ広場にて
大切なマンマの味
お世話になったマンマと一緒に
今回は「アカデミアリアチ」というイタリアの伝統技術(絵画・絵画修復から革製品・インテリア・料理など)を現地の作家や職人が教える学校に1ヶ月半通いました。そこで私が専攻したのはステンドグラスで、現地で活動しているフランチェスカ・メンナ氏の工房で学びました。短い期間の留学でしたがステンドグラスの歴史、職人や、作家の工房事情に触れ深く感動しました。そして何より今回の渡欧で一番心に残ったのは、滞在中お世話になった大家さんエレオノーラ・チェチオーニ(マンマ)との時間です。会話は、イタリア語が専門のマンマは私の不慣れなイタリア語をいつも辛抱強く聞いてくれました。何より私がローマに発つ早朝5時に入れてくれたエスプレッソの味は今でも忘れられない大切なマンマの味です。
イタリア、スペインのステンドグラス
留学中はフィレンツエを拠点にミラノ、ヴェネチア、ローマを巡り各地の美術館や教会、歴史的建造物を回りました。そもそも建築物とガラスが結びついたのは、1世紀にローマで吹きガラスが生まれ、それを平らにして窓にはめ込むことから始まりました。そしてイタリアにあるステンドグラスは9世紀に始まった宗教画のステンドグラスが大半で、今回斬新なステンドグラスが見られることを期待していたので少しがっかりしました。けれど帰りに寄ったスペイン(バルセロナ)では、アントニ・ガウデイが設計に携わったサクラダ・ファミリアやコロニア・グエル教会堂のステンドグラスをはじめ、ドメネク・イ・モンタネル設計のカタルーニヤ音楽堂の今にも落ちてきそうなガラスの雫でつくられたステンドシャンデリアに大きな感動を覚えました。(カタルーニヤ音楽堂の見学は要予約)またステンドグラスは多くの画家もチャレンジしていて、シャガールやマチス、ミュシャなどが有名です。
ガウデイが設計したバルセロナのサクラダ・ファミリア教会のステンドグラス。
カタルーニャ音楽堂のステンドシャンデリア。
日本人がイタリアの伝統分野で活躍
以前の渡伊は「絵画」という視点でしたが、今回は「ステンドグラス」というもっと生活に密着した視点でイタリアを見ることができました。そして改めて日本人の多くがイタリアの伝統的な分野で職人として活躍していることに気がつき感動しました。また今回は懐かし出会いもあり、再来年にはイタリアで展覧会を開く話となりました。
これから海外へ留学を考えている方へ、イタリアは伝統や一つ一つの素材を生かす国です。新しいものには必ず歴史があります。一から芸術と向き合い、自分の技術を高めるためにも是非イタリアに行ってみてください。
イタリアの工房で制作したステンドグラス作品「蓮」
對馬有輝子 TUSHIMA YUKIKO
1978年 岡山県生まれ。 ’97年、KFS受講。「イラストック」会員。
’01年 KFSアート・コンテスト コーチナ賞受賞。
’03年 KFSアート・コンテスト 大賞受賞。
’04年 KFSアート・コンテスト 特別賞受賞。
’01年 高知大学教育学部美術・工芸課程 西洋画専攻卒業
’03年 岡山県立大学大学院ビジュアルデザイン学科卒業
現在、松浦ステンドグラス工房助手
専門学校岡山ビジネスカレッジ非常勤講師。
http://www.superhorse.jp/